■名作列伝012

超電磁劇団ラニョミリINTERNATIONAL・第12回公演

ディスプレイ


日時:2007年9月15・16・17日

場所:相鉄本多劇場



舞台はAV製作スタジオ。


そこでは一人の女性が緊張した面持ちで腰掛けていた。女性の名は志乃。彼女はAV出演を志願してこのスタジオにやってきたのである。そして、その志乃に対峙する監督の藤本。藤本は自らカメラを回しながら志乃にインタビューを行う。そう、撮影はすでに始まっているのである。戸惑い俯く志乃に対し、緊張を和らげるべく「エロは芸術なんです。崇高なアートなんです」と藤本は自らのAVにおけるポリシーを語る。と、そこに能天気な声が響いた。別室での撮影を終えて戻ってきたAV女優・のあのあである。カメラを止め、のあのあやアシスタントに対し次の撮影の指示を出す藤本。スタジオは一気に「現場」の緊張感に包まれた。意を決してこの世界に飛び込んだはずなのに、その緊張感に戸惑いを隠せない志乃。そして、一人の男の登場がその戸惑いを不安に変えた。男優の蘇我、志乃の相手役である。

再び回り始めたカメラによって緊張感を取り戻すスタジオ。しかし、その緊張感も新たな闖入者によって中断されてしまう。現れたのは、防衛省のカツラギと柏原。何と今回の作品は、海外派遣される自衛官の性のはけ口として企画された、「国家公認」のAVだったのである。


スタジオに入ってきたカツラギは開口一番、「何ですか、これは?」と脚本にクレームをつけ始めた。自信作であった脚本を否定されて怒りを隠せない藤本ではあったが、結局クライアントの意向には逆らえず、「今回の作品は絡みのシーンのみ!」と方針を変更してしまった。半ば自棄気味に「脱げ」と志乃に指示を出す藤本だったが、志乃は未だに決心がつかず、自ら服を脱ぐことができなかった。「犯せ」。志乃を見かねた藤本は、遂に蘇我に指示を出した。 


恐怖に身がすくむ志乃。迫る蘇我。そして蘇我の手が志乃に触れた瞬間、悲鳴とともに志乃は気を失ってしまった。冷酷に撮影続行を告げる藤本。再び蘇我の手が志乃に触れたその時、部屋中の明かりが消え、どこからともなく声が響いた。

薄っぺらい笑顔を浮かべながら、志乃を嘗め回すように眺める蘇我。そして彼を正視することすらできない志乃。しかし、そんな志乃の気持ちを顧みることなく遂に藤本の指示のもとリハーサルが開始される。戦争中の日本兵と看護師という設定のドラマ仕立ての作品を懸命に演じる志乃であったが、肝心の「絡み」シーンになったとたん「ちょっと待ってください!」と相手役の蘇我を拒絶してしまう。


当然、リハーサルは中断。いつまでもふんぎることのできない志乃に、「AVなめてんの?」と藤本も怒りを露わにするのだった。そしてそれに輪をかけるように、のあのあがどこからか持ち出してきた志乃の履歴書を読み上げる。「今回の志望動機、転落願望ですって」。何と志乃は自分を裏切った夫に見せ付けるためAV出演を志願したのである。


追い詰められた志乃は、遂に本心を語り始める。しかし、志乃がいくら言葉を語ろうとも、ここはAVの撮影現場であり、そこにいる彼女はAV女優という「商品」でしかないのだった。

「どこまで女を侵略すれば気がすむんですか?」。再び明かりがついたとき、そこには美しい女の姿があった。この世のものとは思えない雰囲気を漂わせた女は、「こんなことをしてはいけない」と、気を失ったままの志乃を引きずり、連れ去ろうとした。状況を理解できず戸惑う一同。そんな中、カツラギは平然と電話を取り出した。


「女性誘拐事件の最重要容疑者を発見しました」。そして、女に向け銃を構える柏原。まるで予めわかっていたかのように落ち着いた行動を取る二人。一体なぜ?そして誘拐事件で防衛省が動く理由とは?数々の疑問に答えるかのように、柏原が静かに口を開いた。  「日本人従軍慰安婦」。


明かされた女の意外な正体。性を商う女ばかりを狙うその目的とは?商われた女の悲しい過去が明かされるとき、未曾有の悲劇がこの星を襲う…。