■名作列伝016

超電磁劇団ラニョミリINTERNATIONAL & 劇団川崎演劇塾 夢のコラボ大公演

レインボー・ミラクル・チェンジ!


日時:2012年9月7日~9日

場所:相鉄本多劇場



 とある日曜日。スーパーハチマキ屋の屋上では、20年前に一世を風靡した変身ヒーロー「レインボーダイナマイト」のショーが行われていた。ステージに乱入する怪人たち、そして颯爽と現れて怪人を退治するレインボーダイナマイト。そしてその後は恒例の握手会である。ダイナマイトと握手するために並ぶ子供達。その子供達の列の中に一人の男の姿があった。その男こそかつてダイナマイトを演じた松岡ゴローだったのだ。

 その後ゴローは、ショーを演じていた前田アクションチームの稽古場を半ば押しかけるように訪れ、メンバーに稽古をつけていた。単なるアクションにとどまらず、ダイナマイトや怪人たちを演じる上での心構えや役作りの必要性、さらには薀蓄まで語るゴロー。本物のレインボーダイナマイト・松岡ゴローによる指導にメンバー達も自ずと稽古に熱が入る。

熱っぽく後進の指導に当たるゴローではあったが、実はレインボーダイナマイト以降は役者として鳴かず飛ばずの状態だった。ダイナマイトのイメージが強すぎて、役に恵まれず、今では単なるエキストラ程度の仕事しかない状態だったのだ。

「今、何やってるんですか?」というメンバーの問いに対し、ごまかしながら現在の仕事を語るゴロー。しかしどんなに格好つけて語っても、それが単なるエキストラでしかないことは隠し切れず、メンバーの間に冷たい空気が漂い始めた。そこにメンバーの一人が新聞を持って駆け込んできた。石塚正一、死去。レインボーダイナマイトの原作者の死を伝えるニュースだった。


 石塚正一の葬儀会場では、「レインボーダイナマイト」の出演者達が20年ぶりの再会を果たしていた。怪人ヘビベロスを演じた門田、悪の組織の幹部・バッファロー将軍を演じた森島、悪のプリンセス・ジル王女を演じた吉岡、そしてゴローである。久し振りにかつてのノリで盛り上がる4人。しかし、それ以外の弔問客の姿は少なく、これがかつて「変身ヒーローの巨匠」と呼ばれた石塚正一の葬式かと4人は驚きを隠せなかった。やはりヒーローの時代は終わってしまったのか。それぞれが寂しさを感じる中、森島が意外な提案を出してきた。「ヒーロー復活。石塚先生には何よりのお弔いだと思うんだ」。話が意外な方向に展開して困惑する門田。しかしそんな門田を置き去りにして3人は盛り上がる一方。ついには、芸能プロを経営する門田に「力を貸してくれ」と迫ってきてしまった。ヒーロー復活に向け、盛り上がる一方のゴローたち。そんな彼らを見て、門田は一抹の不安を覚えるのだった。


 門田の不安は的中してしまった。ゴローたちの思いを汲んでどうにか出演の機会を用意したにもかかわらず、それを彼らが台無しにしてしまったのだ。地道に地固めから始めようと門田がどうにか用意した不倫ものの昼ドラのエキストラ役を、ゴローたちはこともあろうにヒーローもののノリで演じてしまい、さらには主役に演技指導までしてしまったというのだ。当然撮影はぶち壊し。ところが、門田プロの経営問題にまで発展しかねない状況に対し、ゴローたちは「また俺達の時代が来るって」と的外れな態度。事の重大さを理解していない彼らについに門田が怒りを爆発させた。ゴローが干されているのはいつまでもレインボーダイナマイトから抜け出せないからだ、とゴローに現実を突きつけ、プロの役者なら新しい道を求めて次に進みましょうよと迫ったのだ。「ヒーローなんて時代遅れですよ」と言い切りゴローたちを突き放す門田、門田に現実を突きつけられながらもヒーロー復活への情熱を捨てきれないゴローたち。お互いの溝が埋まらない中、突然ゴローの携帯電話が鳴った。電話の主はMATの前田。ショーの最中にダイナマイト役の役者が腕を折ってしまったというのだ。しかも次のショーまで残された時間はあと1時間。パニック状態で泣きながら訴えてくる前田の声を聞き、ゴローは自らがショーの舞台に立つ決意を固めた。門田たちに協力を頼むゴロー。快諾する森島と吉岡に対し、門田は「私はお断りですよ」と突き放した。所詮は子供向けのショー、しかも代役。それでも舞台に立とうとするゴローを門田は許せなかったのだ。「あんたそれでも本当にプロですか?」と問い詰める門田。「俺は、頼まれたらどんな仕事でも、どんな現場で求んでいく。そして必ず成功してみせる。なぜなら俺はプロだからだ」。ゴローは門田に言い切って歩き出した。しかしもはや時間はない。とても開演までには間に合わないと言う門田にゴローは「やってみなきゃわからないさ」と笑って返すのだった。

「もしかして、奇跡が起こるとでも本気で思ってるんですか?」

「違うな。奇跡は起こるもんじゃない。奇跡は自分で起こすものだ!」


果たして、ショーの幕は上がるのか。彼をを待つ仲間の為に、子供達の夢のために、ゴローは走り出した―。

撮影 駒ヶ嶺正人